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2016/09/09

流域Kids 生き物から知る流域環境学習2016第6回「ワンドの生き物と役割」

執筆者: 伊藤匠 (ガサ男)

伊藤匠


源流から河口まで徐々に降りつつ、生き物を通して「流域」とは何かを学んでいる流域Kids。今回は「ワンド」です。重要な環境であるにも関わらず、これほど知られていないのも珍しい。

ワンドって何か知ってますか?

ワンドは、平常時でも本流と繋がっている止水域のこと。増水した時や周りの陸地の形状の変化にに伴って、ワンドそのものも変化していきます。ほとんど水の入れ替えが行われないところを「溜まり」とも呼んだりします。

大雨で川の水が増水した時、普段は陸地のところも冠水します。そして水が引いた時に陸地の窪地に水が溜まったままになったり、緩やかに繋がるのみで止水域として残ります。土砂等が堆積して作られる陸地にできるので、水際まで植生が豊かで、ヤナギなどの河畔林に覆われていることが多い場所です。

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木曽川の南派川を渡り、河畔林の中に分け入っていかなければなりません。

さて、どんな生き物が待っているでしょう?  今回は流域Kidsは7名と少なめです。

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外からは分かりにくいことが多いので、中々ワンドの存在が認知されないし、関心を持たれません。

故に、そこには別世界ともいうべき光景があるのです。

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まるでジャングルか、マングローブの中を進んでいるような雰囲気ですよね。しんと静まり返っているのもいい感じ。
ワンドは基本的に止水域ですから、水草も豊富にあります。ここは在来種ではクロモが群生し、時折ヤナギモが見えます。

そして、外来種のオオカナダモとコカナダモも場所を変えて異常に繁茂しています。クロモとカナダモはとてもよく似ているので、間違われて在来のクロモが駆除されていたりします。20160903_141146

ちょうど、オオカナダモの花が咲いていました。これだけ見ると可憐なのですが、入ったら身動きとれないほどの密生ぶり。足を大きく上げながらでないと進めません。子どもたちはヒーヒー言いながら続きます。これは相当しんどいぞ。

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その他、オオカナダモと並んでよく見かける外来種、オオフサモ。ここにもやっぱりありました。多年生の抽水植物で、オオカナダモと共に侵略的外来種ワースト100のレギュラー選手。

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先に進んでいる方から歓声とも悲鳴ともつかぬ声が聞こえます。何ごとだっっ!!

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写真ではよく見えないけれど、カムルチー(ライギョ)の稚魚がいっぱい。数百匹はいようかという状態だったそう。まだペッドボトルに入る大きさですが、これが1メートルくらいまで大きくなります。水の汚れに強い。外来生物法で要注意外来生物。

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「カルムチー」ではなく「カムルチー」。よく間違われていますよね。あと、よく似た種にタイワンドジョウがいますが、別種です。採ったカムルチーはエラを切って、鳥の餌にしておきます。

その他、ナマズの稚魚やギギ、タモロコ、モツゴ、アメリカザリガニ、ウシガエル、カマツカ、ゼゼラ、フナ、オイカワ、カワムツ、スジエビ、ヌマエビなどたくさんの魚が見つかりました。

 

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全体的に稚魚や未成魚が多く、ヌマエビは無数にいます。繁茂している水草や、水中に無数に伸びるヤナギの根の隙間にびっしりと潜んでいるのです。

ワンドは多くの魚にとって、避難場であり、産卵場であり、生育場なのです。隠れ家がいっぱいあり、水の流れはなく、エサが豊富。この場所を選んで卵を産みにくるのです。まさに水辺の生き物のゆりかごと言えましょう。大きな河川にしかできず、植生があり、河畔林も密生するような、多様な景観の残る場所でなければ形成されません。

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しかし、大きな川は河川改修という名の下にコンクリートで直線化し、管理しやすいように画一化されていきます。

水田と川が遮断されて多くの魚が減っているように、ワンドが減れば多くの魚に影響が及びます。タナゴの仲間「イタセンパラ」が天然記念物になってしまったのもそのためです。幸い、木曽川にはまだかろうじてワンドが残っています。これを維持して価値を共有し、他の川もワンドのある川にしていかなければなりません。

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中小河川において水田が生き物のゆりかごであったように、大河川ではワンドがゆりかごなのです。

さあ次は最終回、干潟で生き物探しです。

伊藤 匠

 

今回のフィールドはAQMAPからチェック ▶︎ http://www.aqmap.info/ui/map/map#1312144162

 

 

伊藤匠
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