アマゴの発眼卵放流に参加してみた。
執筆者: 小林大地 (バンディ)
先日、三重県のとある河川でアマゴの発眼卵放流に参加して参りました。
主催は三重県鈴鹿山脈を水源とする”いなべ川”を活動を拠点とする青川ネットワークのみなさん。有志で活動しているみなさんは「釣り」を愛好するだけでなく、地域の漁協と連携をとりながら放流活動を進めています。
今回は総勢20名弱のメンバーが集り、2つの谷に分かれて合計1万2千個に及ぶ発眼卵の放流を行って参りました。
まずは下準備。一番気にされていたのはしっかりと消毒を行うこと。もししなければ、カビが生えて全滅してしまうこともあるそうです。
(イクラの醤油漬け。。。ではありません。イソジンで消毒を行います)
同じ理由で既に死んでしまっている卵も選別していきます。
(ピンセットや割り箸で優しく選別していきます。手でやると、体温があるので厳禁!)
今回はボックス放流というやり方で、発眼卵を専用の箱に入れて放流するやり方で行いました。ちなみに産卵床を人工的に作りそこへ、放流を行うやり方もあります。
(発眼卵をゆりかごたる、箱のなかへ入れていきます。)
準備ができたら、道なき道を進み放流するポイントへ向かいます。さらに私は初参加だったので、途中途中で産卵床や川構造のガイド付きです。
さて、私がこの活動に参加して感じたことの一つは
「川に魚がいることは、当たり前でない」
ということ。
今回放流が行われた河川は、放流を行うまで全く魚がいなかったそう。
不毛の地ならぬ、不毛の河川。
産卵床の整備、種となる発眼卵や稚魚の放流、そういった地道な活動を続けること5年。自然産卵が行われるほどまでに、アマゴが増えてきていました。
(写真中央、発眼卵を入れた箱を更にカゴに入れ川底へ沈める。紫外線が当たると死んでしまうので、念入りに石を詰める)
だからこそ川に入り発眼卵を放流する時、気をつけるよう言われたのが
「産卵床となる場所を踏まぬように」ということ。
放流したアマゴ達によって、自然のサイクルが回り始めた産卵床はとても貴重です。
(写真中央、太陽に照らされているアマゴによる産卵が行われた場所)
私自身CWPで働くまで、鮎やイワナ、アマゴ(ヤマメ)など、淡水魚は勝手に増えているのだと思っていました。しかし、実際は限られた源流域のみ天然の魚達がいるということが現実です。
そもそも河川の生息環境は海とは違い、極めて小さな器です。
その小さい器はダムや砂防ダム、堰などによって更に細分化され、上流と下流を行き来することもできません。
そういった環境の元、
・漁協運営者、遊漁者の高齢化
・外来魚の無断放流による、在来魚生息域の侵略
・カワウなど魚食性のある鳥の増加
といった問題をはらんでいます。
確かに利水や防災の観点から、河川に手を加える必要があることを否定はできません。蛇口をひねれば水がでてくる便利さはありがたく享受しています。
ただ、そういった観点からだけで河川環境を捉えてきた結果魚達の生息環境を無くしてきたこともまた事実です。
私の地元である長野県には、日本一長い千曲川が流れています。
その河川でもかつては鮭やサクラマスといった魚が河口からはるばる100キロを旅して遡上してきたそう。それを聞いたときには、なんとロマンがあふれる話なんだ!と思いました。産卵のため川の流れに逆らってやってくる魚達。なかには力尽きて、死んでしまう個体もいる中、確実に次世代への種を残していく。
そんな当たり前のサイクルを人間の手によって整えていくことができるのもまた人間なのだな作業を通して改めて感じさせていただきました。
しかし、まずは河川に興味をもってもらわないことには、全くの他人事。個人的には100回「魚のことも考えよう!」とい言うより、一回川で遊んだほうがいいと思っています。
「遊び」たいから、考えよう。
ということで弊社団の運営する
川遊びマップで川遊びの情報を仕入れ
「つりチケ」で簡単に遊漁券を買って
川へ遊びに行きませんか?
小林 大地
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