「小さな自然再生」現地研修会 in 矢作川研究所, 岩本川
執筆者: 田中五月 (ダン)
9月8日、矢作川研究所様にて小さな自然再生の現地研修会を行いました。
本研修会は昨年度事例集を発刊した小さな自然再生事例集編集委員会の活動の一環として行われ、タイミングよく弊社団がお手伝いしている岩本川での小さな自然再生と関連させて開催されました。
弊社団も司会進行、午後のワークショップファシリテーターとして参加させて頂きました。
(午前)
会議室にて「水辺の小さな自然再生」事例集を教材とした座学研修
– 岩本川における取組み紹介(早川 匡:矢作川研究所)
– 小さな自然再生の考え方、留意点、事例紹介(三橋弘宗:兵庫県立大学 自然・環境科学研究所)
– 地質・地形特性からみた岩本川の特徴(原田守啓:岐阜大学 流域圏科学研究センター)
– 岩本川の生物群、生息場の紹介(山本大輔:矢作川研究所)
(午後) – 岩本川にて現場研修
– 福岡・上西郷川の事例紹介(林博徳:九州大学大学院 工学研究院)
– 岩本川での小さな自然再生に向けたワークショップ(ファシリテーター 田中五月:ClearWaterProject)
当日の様子をご紹介します。
思惑としては、午前の座学で岩本川での取り組みや、小さな自然再生の情報提供、課題の抽出を行う(インプット)、
午後に現地を見て課題を現場確認し、同じような地質特性・課題で取り組み、うまくいっている福岡・上西郷川の事例を紹介し、最後にワークショップで課題に対する小さな自然再生での解決策を提示する(アウトプット)という流れです。
まず矢作川研究所 早川様より岩本川での取り組みと現時点での課題を紹介して頂きました。
午後のワークショップに対する最も重要な情報のため、皆様真剣に聞かれていました。
次に三橋様より「小さな自然再生の考え方、留意点、事例紹介」です。
参加者は初めて小さな自然再生の情報に触れる方もいらっしゃるため、小さな自然再生とはいかなるものか?という説明です。
三橋様からの情報は「敷居を下げる」という意図のもと、簡単に始めれそうな内容をちりばめて、参加者をワクワクさせる内容でした。
夢が膨らみますね!
聞いていて楽しくなり、思わず自分の周りの川でやってみたいと思わせるネタと話し方で、司会の私も食い入るように見てしまいました。笑
続いて、原田様の「地質・地形特性からみた岩本川の特徴」です。
—
1、中小河川の多自然川づくりのポイント
2、岩本川の河道特性を読みとくポイント
—
の2部構成で、現場に行ったことがない状況で、インターネットの情報からのみでどこまで川づくりのポイントをあぶりだせるか?という、とても興味深い発表でもありました。
現地に通い詰めている私達としては、よく現地に行かずにこれだけ当てれるものだ、と感嘆の声をあげてしまう内容で、この発表も午後の課題解決ワークショップに重要なインプットとなっていました。
午前の最後は山本様による「岩本川の生物群、生息場」です。 早川様の概要説明から、少し生物に掘り下げた内容をお聞きしました。
矢作川本流と、そこに流れ込む岩本川を対比する形で説明することで、岩本川のことがわかりやすくなっていました。
さすがは地域ワークショップの “博士” です(^^
午後は雨にも負けず、現地岩本川に行き、対象区間を皆で歩きます。
午前の座学を念頭に置きつつ、現場を歩くため、見るべきポイントがある程度絞られていたのではないかと思います。
途中、偶然居合わせた魚大好きおじさん (ClearWaterProject 伊藤) が直前に採取した魚を水槽で見せてくれ、やはり生き物が好きな参加者は食い入るように見ています。
魚を始めとした生きものが多い川、というのを話だけではなく実感として感じて頂けたはずです。
バスで研究所に戻り、最後の座学は林様による「福岡・上西郷川の事例紹介」。
岩本川と同じく花崗岩質の流域を持つ川での小さな自然再生の先進的な取り組みや、二次効果として地域コミュニティが強化されたことなどの発表でした。
上西郷川は取り組み前後での様子が全く異なり、本当に素晴らしい事例です。
当初は暗渠にしてほしいという意見も出たそうですが、今となっては考えられない変貌ぶりで、皆一様に驚かれていました。
さああいよいよ最後のアウトプット、ワークショップです。
ワークショップは事前に抽出された岩本川の課題を、これまでのインプット情報から、どのようにして解決できるか? ということを参加者全員で考えていきます。
まず6つの小グループに分けて、意見が出やすくします。
各メンバーの意見をポストイットでどんどん出していきます。
この段階では批判NG、突飛なアイデアも大歓迎のブレスト方式。
各グループには事例集編集委員会のメンバーが入っており、皆さんとても手慣れているので見ていて安心感があります。
それぞれにより進め方に個性があるのも興味深い。
徳島大学 浜野先生のグループでは、現場研修で撮影した写真をさっそくパソコンに映し出して意見を出していました。
次にブレストで出たアイデアを各グループで2案に絞り込んでもらい、ホワイトボードに貼りだしていきます。
ここでは、たくさん出たアイデアを主に実現可能性という点に注意しつつ、良いアイデアに絞り込んでいきます。
各グループ2案に絞り込んだ後は、参加者全員で良いと思う案をラベルで選んで、更に絞っていく・・・ というこんな流れを想定していました。
しかし、ワークショップは生きもののように状況が変わります。 ホワイトボードに貼りだした後に、様々な意見が出ました。
流れに逆らわずに予定を変更しましょうということで、ラベルを貼っての絞込はやめ、皆様の意見でメインとなっていた 「ゾーニングして徹底的に良い場所を作る」について掘り下げていくように方針変更です。
結果として良い形に掘り下げていけたと思いますし、何より途中で埋もれたたくさん出されたアイデアの一つ一つにもとても面白いものが多数含まれています。
これらは、今後岩本川での小さな自然再生を進める上で、大きな財産となっていくことでしょう。
お世辞ぬきでとても濃い内容の研修会でした。
次回は11月2日(月)に滋賀 高時川で第2回 研修会が実施されます。
参加申し込みは近日中にJRRN様HPで掲載される予定ですので、皆様奮ってご参加ください!
田中
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