流域Kids 生き物から知る流域環境学習2016第4回「農業河川と生き物」
源流部から徐々に下ってきた流域Kids。
第1回 五条川 源流 ▶︎ 水温が冷たすぎ、水が綺麗すぎて生き物の数は少ない。
第2回 五条川上流 ▶︎ 途中にあるキャンプ場を境に生き物の数がぐっと増える。良い汚れが影響していると思われる。
第3回 入鹿池 ため池 ▶︎ 繁殖した外来種により上流にいた生き物は殆ど姿を消す。
そして第4回のフィールドはここ▶︎ http://www.aqmap.info/ui/map/map#999504020
暑くなってきたので、橋の下から出発です。子どもたち、ライフジャケットは暑いよなぁ。でも、命には変えられないからしっかり着よう。講師陣のウェーダーはまさにサウナです。。
今回のフィールドは前回のフィールドだった入鹿池から流れる「新郷瀬川」。付近の田畑に水を供給して国宝犬山城のお堀となって、木曽川へと注ぎます。愛知県の事業で多自然化されており、護岸は緩傾斜化されていて、川の中の植生も豊かです。ガサガサポイントだらけという印象。流れはあまりなく、怪しく濁っていて、泥の臭いが些かきつい。泳ぐ気にはちょっとなれない。
川にはショウブが浮島のように配置されている。元気に伸びているショウブに流域Kidsは行く手を阻まれる! 大人の背丈以上に伸びたショウブを掻き分け掻き分け進みます。途中、タモ網でガサガサするとウシガエルのオタマジャクシが入れ食い。。
そして、先頭の方から歓声が聞こえる! 急いで行ってみると、、
ん? 何か持ってんぞ!!
これはもしや、、
カムルチーだっ!! ライギョってやつですね。勢いよく体をくねらせていますね。ちょっとした龍の趣です。いや〜カッコイイ。けれど、これも要注意外来種なんです。汚れた水質でも生きる肉食魚で、空気呼吸もしちゃう。それにしてもでかい。ナマズは頭が平たいけどカムルチーは縦長。
写真で見ると長閑な感じですが、泥がかなり溜まっていて、歩くのも一苦労。一足ごとにブクブクと川底から泡が昇ってきて腐った泥の臭いが漂います。
女子ーずは、ウシガエルオタマジャクシを専門に採っているとのこと。笑
また歓声が響きます! 今度は何だ!!
ナマズだーー!
カムルチーに比べると何とも愛嬌のある顔をしていますね。餌の食べ過ぎでお腹パンパン。パケツが揺れるせいでザリガニをいっぱい吐き出してました。。
ナマズを触りまくります。
安定のミシシッピーアカミミカメ。もう泥だらけのずぶ濡れ。大物が多いねえ。
多自然化されたこの区間は、いかにも生き物が好みそうな景観をしていて、植生も沈水植物も豊か。けれど、採れる生き物はカムルチー、ミシシッピーアカミミガメ、ウシガエル、カダヤシ、ブラックバス、アメリカザリガニ、ブルーギルなどの外来種が圧倒的優勢。在来種はナマズ、カマツカ、モツゴ、コイくらいでした。肉食の大型の生き物が棲める川は基本的には豊かな川です。だってそういう生き物が食べて生きていられるほどに餌があるということですから。
だから、在来種も棲めるはず。共存だってできるはずです。環境としてはとても良い。つながっている上流、源流にはたくさん在来種がいたし、ここから流れていく先には木曽川がある。なのになぜ、在来種はいないのか。
1,上流は外来種の宝庫の入鹿池で、上流部にいる在来の生き物は食べ尽くされてしまう。
2,下流の木曽川との合流部分には滝のような堰堤があって、生き物は遡上できない。
3,周囲の水田への水路はポンプ式等になっていたり、稚魚が育つ時期に中干しをしてしまうために死んでしまう。
こんなことが理由として考えられます。
部分的に多自然化をしたとしても、そこに生き物がやってくるルートを閉ざしていたのでは生き物は増えないってことです。局所的に見ていてもダメなんですね。川はそこだけで成り立っている訳ではないですから。
川は血管のように流域という体をめぐり、水という血液を供給しているんです。それで流域という体は維持されています。体のどこかに不調が出れば、必ず血管や血液にも影響が出ます。川は流域の健全度合を図るバロメーターなんです。その意味で、子どものいない川の周りは、コミュニティーとして何か問題がある、とも言えると思っています。
そういったことを生き物を通して知ってほしい。そして自分たちも流域内で、川の、水の恩恵で生かされている生き物の一部であることを知ってほしい。そういう願いと狙いでこの流域Kidsを実施しているのです。
次回はいよいよ木曽川本流へと進みます。
伊藤 匠
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