CWPブログ

2014/01/23

河川生物の引っ越し作業のお手伝いをしてきました

執筆者: 瀬川貴之 (ウマヲ)



 本日この真冬に、川に入って生物採りしてきました!?

 

CWP瀬川です。

さて、何のことだ?というお話ですが、きっかけは愛知川の会の方にお誘い頂いた
岐阜県交流会でした。何やら岐阜県大垣市にある杭瀬川(くいせがわ)という、
私の名前の入っている川で、河川改修工事の関連で水生生物のお引越しをするとのこと。

私は実は大阪府堺市→東京→名古屋 という住まいの転換のため、非常に都会っ子です。
基本は川に入るようなことはしておらず、入ったとしても山奥、かつ夏の水着で入るような時期です。

しかし、水辺を良くするには河川で行われていることも体感しておく必要あり、かつ自分の名前も入っている!ということで、長靴等必要装備なかったですが、喜んで参加させてもらいました。
とりあえずサーフィン用のブーツを持っていくことにしました。うくだろうなー。。

午前7時半に名古屋駅太閤口に集合し、バスに揺られること1時間程。現地到着です。
IMG_6626

お、ちょくちょく見かける工事現場な感じですね。
IMG_6628
思えば、工事現場に入るのは初めてです。
堂々と入れてちょっと得した気分です。

さて、本日の説明。
IMG_6633
内容はこの「天然記念物「杭瀬川の蛍」幼虫や魚類等水生生物の引越しについて」
平成25年10月から平成26年3月まで、約1.3キロ、総工費5億円で、河床掘削(川の底を掘って低くすること)を行い、洪水時の水位を約30~70センチメートル程度低下させ、洪水時の安全性を高める、という治水工事を行います。

で、今回は特に市天然記念物ゲンジボタルや希少種ハリヨ、絶滅危惧種スナヤツメなどがいるということで、それらを重点的に、下流から一部区間ずつ、河川の片側半分を区切って堰き止め、ポンプで水だしし川干しし、少し残った川の水の中から水生生物達を採って、上流に放出することで出来る限りの生物を保護しよう、というものです。写真は本日のもので、こんな感じでやっています。大々的ですねー。
IMG_6629
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ゲンジボタルの幼虫(5,6月成虫になるため、今の時期は幼虫)等は特に川を大きく移動出来ないこともあり、工事後にゲンジボタルの幼虫の餌になるカワニナ、が食べる藻が繁殖するまでの間はお引越ししておいてもらおう、とのことです。

岐阜県では、「清流の国づくり岐阜」を標榜しているだけあって、市民や議会からの治水要望であっても「環境に配慮した」という内容がくっついてきます。
(愛知だと残念ながら議会で「環境に配慮した」とついた要望がそうそう出て来ないそうです。そのようなものは存在しないものだと思える環境だからか、住民要望も議会も一段上の要望が出てこないのかもしれませんね)

さて、うんちくは置いといて、実践開始。

本日は岐阜県庁、大垣土木事務所、土木コンサル、土木会社、愛知川の会の方、と総勢50名程いました。
平日ですが、参加は基本ボランティア。とはいえ業者がこれに参加すると環境に配慮した行動、ということで評価点がプラスされたりするので、利益ベースの行動なところもあるのですが、、参加して生物状況を実感してもらうことで配慮するような行動をとるようになる、という教育効果はあるので、入口は何でも良いかと。(実感として教育効果高いと思いました)

それらが干された川に入っていって、タモでガサガサと水生生物を探しまくるのです。
大の大人が生物採取に夢中になっている光景は面白いものです。
IMG_6643

しかし、やり始めると結構夢中になります。
IMG_6641
ちなみに、ホタルの餌になるカワニナはここにはホントゴロゴロいますが、ホタル幼虫はなっかなか見つからず。。難しい。
IMG_6644
IMG_6646
何かの卵みたいですね。。
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1時間強の採取を2ターン行って、最終的に17種が見つかりました。たぶんかなり多い方だと思われます。
これがターゲットのゲンジボタルの幼虫。私は一匹も採れませんでした。。
IMG_6652でもそもそもカワニナの数に比べると少ない様子。水質等影響か?

絶滅危惧II類のスナヤツメ。
IMG_6661
絶滅危惧IB類のタナゴ。
IMG_6662
それ以外。これがそれぞれ違う種類で三杯ほどあります。
IMG_6656

これ、写真で見えてます?山盛りになっているのは全てカワニナです。
IMG_6659

採取終了後頃に、小学生が赤帽組、白帽組に分かれてやってきました。
先にテレビ局も来ていましたが、これのためですね。

まずは基本通り、土木事務所の担当の方が改修工事と生物引越しの説明をしています。
IMG_6670

その後、採取した水生生物を種別分かるように種類毎に何匹か分けて入れて見せる標本陳列をしているところに、小学生が1列に並んで順番に見ていってます。意外にきちんと1列に、おとなしく並び、比較的落ち着いて見ています。見てるこちらはいまいち面白くないどころか、最近の小学生はなんておとなしくて偉いんだ、ぐらいに思いました。
IMG_6672

さて、4分の1が見ていって終わったころに、勝手に標本陳列の後ろ側のおけに入れられていた大量の生物群を勝手に採取参加者が小学生呼んで触らせ始めました。最初は「え!やだ!」「気持ち悪い!」と触らなかったのですが、ちょっと指でつつき、慣れて掴んでみると。。。他小学生が寄って来はじめ、俺も私もと触りたがり、その様子を聞きつけさらに群れ集まり、、、、後は歓声の嵐!!
IMG_6673
IMG_6684
おけ周りに群がり、離れなくなりました。

もう秩序も何も無し!
IMG_6685

やはり生物に触れるまでくると反応が全く違います。

ちなみに、生物多様性の高い河川では、人のレジャー利用が増加する、という研究結果も発表されており、やはり反応あるもの、それも予測不能な反応=生物、にこそ人は感動し、興味を惹かれるということだと思います。
(これは私の最近のテーマで、人の作った公園や自然に何か物足りなさを感じるな、と思っていることに対する一つの解だと思っています)

最終的に子供達は非常に満足して帰っていきました。
私達もこれでお手伝いはおしまい。後は別途交流会で別場所に向かいました。

感想として、これは確かに近くの川で出来るようなところが出来れば、子供の五感使った遊びに幅が出来、野外活動も広がるでしょうね。本当はそこで取れる魚や貝をそのまま食べれたらもっといいんでしょうけど。
こういった河川を増やす価値は十分あると思います。

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