2017/08/02

愛知県・五条川 小さな自然再生 苗植え付け

執筆者： cwp

カワサポにも登録している「NPO法人 トンボと水辺環境研究所」さんが取り組まれている、愛知県の五条川の小さな自然再生。

先回は植生ロールや石などで岸辺造成の基礎を作りました。

愛知県・五条川 小さな自然再生 岸辺造成

集中豪雨に造成岸辺は耐えたか?

今回はその植生ロールの穴に、植生を植え付けていきます。けれど心配だったのは先日の犬山地区周辺の集中豪雨。ちょうど岸辺造成をしたエリアで五条川が決壊したのです。

見事に残っていました。過去に造成した岸辺も、先回作った岸辺も無事でした。これが試行錯誤をして辿り着いた工法の結果ですね。

植生ロールの塩ビ管を抜く

植生ロールに30センチ間隔で埋められている塩ビ管を抜きます。奥に押し込められてしまった管を濡れたロールから抜くのは中々に骨の折れる作業です。抜いた後の穴に植物を植えて行くのです。

セキショウを植える

今回植えるのは抽水植物の「セキショウ」。

地下茎がぐんぐん伸びて増えて行くタイプで、日差しのあまり当たらない場所を好む植物です。

五条川は桜の名所でもあり、堤防上の散策路沿いに桜の木がびっしりと植えられているため、枝葉が川の上を覆い尽くしており、日光が川面に当たりません。なので、あまり水草が育たない環境になってしまっているんです。そこで、あまり日光を必要としない植物を選択します。

春のうちに五条川で新芽を採集し、圃場で育てておいた苗を使うため、植物の遺伝子攪乱は起こりません。

一つずつ植えて行く

穴に詰まっていた土砂と、苗についた土とで穴に埋めます。あとは、根っこが植生ロールの間を水中へと伸びていくのを待ちます。

全部の穴に植えたらひとまず完了

全ての穴に一株ずつ、セキショウを植えていきます。水際はセキショウなと背の抽水植物が根を張り、次第に土砂などがたまっていけば岸辺の中心は陸上生の植物が根付いていくはずです。そうやって岸辺は強固になっていき、水流、水深、景観に多様ををもたらし、その多様性に応じたた多様な生き物がやってくるのです。

桜が咲いていればいい、水が流れていればいい、遊歩道が整備されていればいい、ということではないはずです。変化に富んだ景観があるかどうか。それが大切です。

伊藤　匠

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