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2026/10/06

【森と川と人をつなぐ楽校】「川がちがうと、なにがちがう?」開催したよー。

執筆者: 岡本亮太 (たんたん)



有終の美ー最後までやり通して、立派な成果をあげること。

2026年度「森と川と人をつなぐ楽校」連続回としての実施は最終日です。
今年度は、雨に泣かされた楽校でしたが、最後のこの日は無事に予定通り行うことができました。
ご参加者みんなの「川に行きたいんだー!!」という想いが天に届いたんでしょうね^^

この日のテーマは「川がちがうと、なにがちがう?」

先に申し上げると、私たちは、何かを否定したり、批判したりするために、今回のテーマや内容を組んだわけではないということはしっかりと伝えておきます。

この日は、午前中も午後も、どちらもガサガサ(たも網を使った川での生き物採集)です。
じゃあ、どの川に行くのか、何を内容にするのか、そこですよね、正直めちゃくちゃ考える時間、下見する時間を取りました。
川の候補は複数ありました、結果、なぜ、午前の川と午後の川にしたのか。

森と川と人をつなぐ楽校・・・森と川の先にあるコトを感じてもらえるのが、午前の川。
午前の川で見た光景が数年後には訪れるかもしれないのが、午後の川。

私たちが「森と川と人をつなぐ」と言っている、そのすべてが、午前と午後の川に詰まっている、そう信じて、この2つの川に絞りました。

ただ楽しい、ただ生き物を見つけるだけじゃないのが楽校であると考えているので、どうしてもこういう前置きが長くなるのはご愛嬌としてもらい

さあ午前の川。
目的はこれです。

持っているのは「モクズガニ」
午前の川を選んだ一つの理由は、この子に出会いたかったから。

モクズガニは、産卵のために海が必要です。
とすると、モクズガニがいる川というのは、海とつながっている、ということ。

「森と川と人をつなぐ」

森からはじまり、川につながり、やがて向かう先には、海。

「森と川と海と人をつなぐ」と言わない。
森があり、川があり、その先になにがあるのか。そこに想像を働かせて、全てのつながりの中に人間がいる、自分がいる、暮らす場所がある。

答えを言わない。想像力を働かせてもらいたい。そう願うからこそ、森と川と、までしか言ってきていません。

だからこそ、このモクズガニがいるという事実が、海とつながっているのだ、という事実も教えてくれる。感じさせてくれる。

それはつまり、森と海がつながっているということ。

海とつながっているんだよ!と声高に訴えるよりも、自然の生き物を通して、それを実感してもらえることが、「生きている」ということ、「つながっている」ということ、そうしたことが、スッと腹落ちするんじゃないかなって思っているのです。

さて、午後の川。
目的は、午前の川をオーバーラップさせるような光景に出会えるから。

午後の川でもたくさんの生き物に出会えることができました。
また、私たちがその川で活動を始めて2例目となるほど珍しい生き物を見つけた親子もいました。

『午前の川をオーバーラップさせるような光景』ってなんだ。

上の写真と下の写真は、どちらも午前中に行った川です。(同画角じゃなくて申し訳ないです)

上の写真が2022年度、下の写真が今回(2026年度)

同じ川なのに、さあ何がちがうか。
2026年度の川を見ると、草が無いことに気づきませんか。
なぜか。

「浚渫(しゅんせつ)」を、行ったからです。
浚渫とは、簡単に言えば、河川に溜まった泥や堆積物を人工的に取り除くこと。
それは主に、防災、減災のために行われることで、人間にとって、地域・流域住民にとって非常に大切なことです。
一方で、写真でもわかるように草が無くなり平坦になることで、生き物は住んでいた場所が無くなるわけで、その河川の生態系が変わる可能性があります。

人間にとっては大切な浚渫、それは、生き物にとっても重大な出来事。

人間の目線で作る社会、生き物とともに暮らすための社会。
さあ、どういう社会にしていこうか、そんな話を午前の川でしていました。

こちらが、午後の川

手前を見ると、ススキが生い茂る草原が存在しますが、この川も、河川管理の計画においては浚渫の対象区域に入っており、もしかしたら数年内に、土と草が無くなる平面な川になるかもしれません。

改めて言いますが、私たちは何かを否定、批判したいわけではないので、浚渫が悪いとか言いたい、伝えたいわけではありません。
特に、今年の各地での大雨を見ると、川の役割はとても大切なので、防災や減災の取組が欠かせないことはわかります。

だからこそ、”考えてほしい”、それが今回の伝えたいコトなのです。

2026年度の「森と川と人をつなぐ楽校」全体のテーマは「森も川も流域もジブンゴトに」

1回目は「水を知ろう!川を知ろう!」
川には生き物がいて、飲み水が川から来ていることを再発見する。

2回目は「森を知ろう!森を歩こう」
飲み水が育まれる森を知る。森を守る人を知る。

3回目は「生き物を知ろう!飼ってみよう!」
川にいる生き物を自宅で飼ってもらい、生き物への興味や愛を深めてもらう。

そして今回の4回目は「川がちがうと何がちがう?」
生き物や水への興味を持ってもらっているからこそ、これまで活動してきた川で、浚渫や災害、飲み水の確保など、川がある意味や役割、そしてそこにいる生き物、川に関わるすべてを通して、自分がどう向き合っていけばいいか、社会を創る一員としてどういう考えを持つのか、そこに想いを巡らせてほしい。

森と川と人をつなぐ楽校は、答えを言いません、こうだよなんて押しつけもしません。同じ事柄を体験しても、違う意見を持つことも有り。ひとりひとり違うのだから当然です。そこだけは絶対に守るべき、確固たる軸です。どれだけAIが発達しようと、リアルな経験に勝てるものはなく、そこが失われることもなく、違う考えや個性を持つそれぞれが体験した内面から絞り出される感情や考えこそ、これからの未来は大事なのでしょう。

だから今回も、浚渫というのが悪いとかそういうことは言っていないし、思ってもいない。

どういう社会が良いと思う?

最終回なのに、問いを出して終わる。それが、楽校なのです。私たちが大事にしたいコトなのです。

有終の美ー最後までやり通して、立派な成果をあげること。

辞書に書いているのがそれだとしたら、立派な成果が出るのは「どういう社会が良いと思う?」という問いに対して、ご参加者が行動してくれた後、なのかもしれません。

私たちができることは、したいことは、きっかけを作ること。機会を生みだすこと。
「考える」「想像する」「挑戦する」「体全体で感じる」そうした機会や問いを発することで、環境について行動できる仲間を増やしたい、それが楽校の目的です。

そういう意味では、有終の美。
全4回を走り切り、どんな社会が良いかを考え、想像してくれる仲間を増やすことができたことは、立派な成果であり、誇りたいと思います。

中には往復5時間かけて通ってくれた強者さんもいらっしゃいました。
参加してくださった皆さんには、本当に、ただただ、感謝です。
毎回、楽しみに参加をしてくださったご参加者の皆さん、より良い学びや気づきを生むために切磋琢磨し汗を流し合えたメンバー、子どもたちのためならと気持ちよく支えてくださった地域や市役所のみなさん、日曜日だけれど参加して発表してくれた高校生と先生、自分の得意分野を発揮して熱い想いや事実を伝えてくれた講師の皆さん、そしてこの取り組みを実施するために助成してくださった河川財団の皆さん・・・みなさん、本当にありがとうございました。

本当に多くの人の環の中で、人のつながりとご縁の中で、想いを形にしていけていることが幸せな時間となりました。

「この川で浚渫があると、どうなると思う?」という問いに対して、一人の男の子がこう答えました。
『思い出が無くなる』

ここで過ごしたガサガサの時間が彼の中で思い出になり、いつか再現しようと訪れたら、再現できない環境になっているかもしれない。

筆者が環境の仕事をはじめた起点は、実は同じで、都市開発によって、子どものときに遊んでいた沼が無くなったこと。
あの楽しかった記憶は、もう二度と返ってこない。でも自分ではどうしようもない。
だったら、何が良いことで、何ができることなのか、考える機会を創れる人になろう、それです。

だからこそ、その子の発言には、自分の幼少期を思い出し、ハッとする何かを感じました。

有終の美。
全4回すべてに参加してくれたみんなには、特製の「森と川と人をつなぐ楽校」メダルをプレゼント。
もちろん一緒に参加してくれた、お母さんにも同じものを。

長く続くみんなの人生の中で、お母さんと一緒に過ごした「川での、あの時間」が、みんなの行動と未来につながっていくと信じています。

自分と森はつながっている。
自分と川もつながっている。

つながりの中で人が生きている。

さあ、自分はどうする。

正解のない、その問いこそが、楽校の終わりであり、はじまり。
親子参加だからこそ、大人は大人として、子どもは子どもなりに、歩もう。

自分を信じて、自分の選択を信じて、行動して行ってほしい。

この取り組み「森と川と人をつなぐ楽校」は、公益財団法人河川財団 河川基金の助成により活動しています。

岡本亮太(たんたん)が書いた記事

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