【水を旅する】田沢湖編
執筆者: 岡本亮太 (たんたん)
川で遊ぶってことを推奨しているCWPです。
釣りや沢登りみたいに体を使ってアクティブに遊ぶのもあれば、静かに遊ぶってのも有りだと思うんです。
とりわけ僕は、旅が好きだし、地域が好き。
なので、水を旅する、アクアツーリズムというのをやってみようかなと。
今回は【水×旅行】 秋田県 田沢湖編です。
田沢湖って?
「日本で一番深い湖」ってことはご存知の人も多いかもしれないですね。
そしてもうひとつ、知っているとしたら、こちらかな。
たつ子像。
たつ子さんに関しては、後ほどくわしく。
日本一深い湖であるがゆえに、もうひとつ、もしかしたら知っているとしたら・・・
クニマスの生息地。
正確には、生息地だった、ところ。
クニマスってのは、もともと田沢湖にしか生息していなかった魚で、絶滅したといわれていたのに、それが2010年、さかなくんの発見と京都大学の研究により70年ぶりに発見された!!と大ニュースになった、あの魚。
でも発見されたのは、田沢湖で、ではなくて、山梨県西湖で、でした。
なんでまた?と思いますよね。
話せばながーくなるわけですが、昔むかしクニマスのタマゴを日本の中でも数カ所に配って、その中のひとつが西湖でした。
でも70年ぶりですから、そのタマゴの子孫の子孫の・・・・子孫って、頭グルグルするくらい、繋がった結果なんでしょうね。
山梨県にいた立場としては、勝手にロマンを感じてしまって、そんなところから
いつかクニマスのふるさとである田沢湖がどんなところなのか、訪ねてみたいじゃないかーって勝手に思っていたんです。
そしたら地元の仙北市も70年ぶりの発見を機に「田沢湖としても貴重な財産を残さないと!!」と立ち上がったようで、新たな施設を湖畔に建てました。それがこちら。
行ってみましたよ。
おー、肝心のクニマスが映ってない!
オーマイガ!!
本当はこのガラスの中に、3匹くらいいたんです。
なにをやってんだ、おれ!
クニマスとヒメマスって何が違うの?
昔はどんな道具でクニマスを取ってたの?
とか、いろんなクニマスに関わる情報が得られて面白かったですよ。
クニマス未来館
http://www.city.semboku.akita.jp/sightseeing/miraikan/shisetsu.html
ひとつ、やはり気になるのは、昔はうじゃうじゃいたという田沢湖のクニマスが、なんで絶滅したの?
ってことですよね。
クニマスは習性として、非常に深いところで卵を産む魚。
だから田沢湖だけしか生息できないと考えられてきたのですが、西湖にも一部、本当に一部だけ深く、水が冷たい場所があったということがわかり、そこで孵化して育ってきたのではないかって考えられているようです。
田沢湖は環境的にはクニマスに恵まれているのに、なぜ絶滅したか。
それは、酸性水の影響。
電力需要が増えた分、水力発電所を作り、発電で減った水を補う分、玉川という川から田沢湖へ水が流入するようにしたら、絶滅しちゃった。
玉川というのは、非常に酸性の強い川なんですね。
こちらが玉川。
玉川といえば、、、玉川温泉。温泉好きの僕もいつの日か、と思う場所です。
強酸性の温泉として、湯治に行く人も多い、あの玉川です。
強酸性ゆえ、人間も長湯は不可というから、その水が滔々と流れ込んで来たら、そりゃあ魚も生きていけないか・・・
でも、酸性で生きていける魚が実はいて、、
ウグイなんだそうな。
ウグイだけは、酸性でも生きていけるから、今の田沢湖にはウグイだけなんだとか。
こんな経緯で絶滅してしまった、クニマスを訪ねる旅でした。
歩けばいろんなことが見えてくる。
歩かないと、いろんなことは見えてこない、という方が正しいのかな。
水と一言にいえど、いろんな水があるんですよね。
人間の利益を第一に考えたら、生き物を絶滅させてしまった・・・考えさせられます。
そして、酸性水をどうにか中和して、昔の田沢湖に戻せないかと研究している地元の高校生たちもいるらしく、そういうことを聞くと心強くなるもんです。
さて、田沢湖といえば、たつ子さん。
『むかしむかし、永遠の美貌を天に願う、たつ子という女性がいた。ある日”山を越えた先の泉の水を飲めば永遠の美しさを得られる”というお告げを聞いた、たつ子姫は、その泉の水を飲みそこに住むイワナを食したところ、喉が渇き、どれだけ水を飲んでも渇き、ついには泉が枯れるほど水を飲んだら、龍になってしまい、田沢湖の主となって湖底に棲むようになった』(諸説あり)
それを聞いた、たつ子の母は、田沢湖を訪れては、火のついた木(たいまつ)を掲げて娘の名を叫ぶ。
ある日、その叫びを聞いた龍が母の前に出ると、母は悲しみ、持っていた木(たいまつ)を田沢湖へ投げ入れた。
すると、その木の尻(たいまつ)が1匹の魚に変身し、泳いでいった、、とさ。。。
その1匹の魚が、キノシリマスと呼ばれ、田沢湖にしかいなかった魚=クニマスだった、というのが、たつ子伝説です。
つながるんですね~
こういう地域の民話を聞くと、実際の場所を訪ねてみたくなるのが性分です。
そして今回ようやく機会があり(しかも、仕事も田沢湖に関係する仕事で行く機会だったという最高の機会)行けました。
はて、たつ子姫が食べたという秋田のイワナは、そんなに喉が渇くのか。
その名も、たつ子茶屋さんというのが田沢湖畔にあり
実際に、やってみた。
あら、おいしそうなイワナさん。
もぐもぐ。
もぐもぐもぐ。
もぐもぐもぐもぐ・・・
ごちそうさまでした。
・・・
・・・・
・・・・・
・・・・・・・
ぷふー、いやーこのコップ1杯の水で充分でした。
たつ子姫はどんなイワナを食ったんだ!?
クニマスと田沢湖伝説に興味あり、訪ねてみた田沢湖。
体を動かす川遊びが「動」だとすると、博物館を見たり、由来を訪ねて歩くのは「静の遊び」かもしれない。
こういう静の遊び、そして、水にまつわる旅遊びってのも有りだと思うんです。
水にまつわる旅、アクアツーリズム。(と僕は呼んでいきたい)
水には古来からいろんな謂れや、願いや、民話など、奥深さがたくさんあります。
それを訪ねていくと、今の水もいろんな角度から見えてくるのです。
そんな旅をこれからもしてみて、ここで書いてみたいなと思います。
ではさっそく。
たつ子姫は、同じ秋田県の八郎湖を作った八郎太郎に見初められたという謂れがあり、次は、その八郎湖を訪ねます。
と動き始めたら、あらま、日本海側に見られる、春の花が。
水芭蕉。
冷涼な地域でしか見られないこの花の花言葉は「変わらぬ美しさ」
永遠の美しさを求めたばかりに龍になって田沢湖で眠ると言われるたつ子姫のすぐそばで咲く、春を告げる水芭蕉。
可憐な白いキミたちは、たつ子姫の生まれ変わりなのか。
そんな気持ちになる田沢湖を巡る水の旅でした。
ぜひとも、こういう【水×旅】もいいもんだと思うので、多くの人に広まってくれることを願って動いていきます。
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