CWPブログ

2015/06/22

「サイフォン式パイプ魚道」について教えてもらおう! 魚は本当に登るのか!? 勉強編

執筆者: cwp



さて、そんな思惑を胸に「サイフォン式パイプ魚道」を勉強する為、開発・研究をされている西日本工業大学総合システム工学科の水工環境研究室を訪ねました。赤司教授と太田客員研究員にお話しを伺いました。

IMG_1187
西日本工業大学 小波瀬キャンパス
圧巻の実験室
圧巻の実験室

サイフォン式パイプ魚道」の研究・開発は10年程前より行われており、多摩川でのアユ遡上確認等でも使われたとのこと。

当初は、パイプの傾きも試行錯誤を繰り返されたそうです。魚が直角の流路を登ることが考えにくいとされていた為、斜めに設置する構造で実験。しかし、パイブそのものは軽いですが、実際に水が入るととても重くなるので資材が重量に耐えられません。川底や堰堤の水平面に設置して安定性を確保しようとすると当然、堰堤を越える箇所は直角にしなければなりません。

パイプの傾きを試行錯誤
パイプの傾きを試行錯誤。手前が現状の直角構造。

パイプ魚道は一定した水量の水流をキープできますが、反面、流速がとても早いというデメリットがあります。強い水流の中を魚が遡上することは中々難しいのです。水の入り口と出口は魚が通る為、手を加えることはできません。

そこで、パイプ内で流速を抑える仕組みが必要になります。そこで考え出されたのが、口径の異なる塩ビ管を繋げるインクリーザーの利用です。大凡、60センチのパイプに4個程度のインクリーザーを15センチ〜20センチの間隔で取り付けることで、魚が登ることのできる流速をキープします。

インクリーザー
インクリーザー。これに緩衝材を巻いてパイプ内に取り付けます。
IMG_1190
60センチの塩ビ管に、15センチ〜20センチの間隔で取り付け
パイプの中の流速を制御
パイプの中の流速を制御。下から上に水が流れます。

 

サイフォン式パイプ魚道は、幾つもの塩ビ管をつなぎ合わせて設計されていますが、しっかりと接合させることが大命題。接合が甘いと漏水したり、空気が入ったりして必要な流速・水量が得られません。これも一筋縄ではいかなかったようです。

当初の蛇腹ホース使用時は、家庭の水道等でも使われているような固定具を使用。
当初の蛇腹ホース使用時は、家庭の水道等でも使われているような固定具を使用。

現在では、塩ビ管どうしを繋げるフランジを金属ボルトで固定します。パイプとフランジは、水道工事等で使用する接着剤で固定します。

フランジを金属ネジで留めます
接合したいバイプの両端にフランジを接着させ、金属ボルトで留めます
バイプとフランジは接着剤で固定
バイプとフランジは接着剤で固定
塩ビ管継手用接着剤。
塩ビ管継手用接着剤。「塩ビ管」て、硬質塩化ビニル管って言うんですね。。
こういう状態の塩ビ管がベースとなります。
こういう状態の塩ビ管がベースとなります。下から上に水が、上から下に魚が登り(?)ます。わかりにくいですが、この写真は上流部での設置状況です。下流部の排水口付近は上下逆さまになりますね。一見、魚採り用のもんどりっぼいです。間口が広い方向から魚が入り、間口の狭い方から水が流れて流速を制御。

これらを組み合わせて、このような直角な構造のパイプ魚道が出来上がります。組み合わせは、設置場所に応じて工夫します。

3メートルの落差を想定した実験質
3メートルの落差を想定

上の写真でパイプから出ている青いホースは何なのか!

予習を終えて、お次は実際の河川に設置されているパイプ魚道を見に行きます!!

答えはそちらで!! 乞うご期待!!!

伊藤 匠

 

 

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