昔から水害に悩まされてきた川に対し、洪水などを防ぐための様々な工事がなされています。
例えば川底は土砂などでできており、水の流れが速くなると簡単に流されてしまいます。
その対策として川の流れが速くならないように上流から下流への全体勾配を緩くする、土砂・土石の流出を防ぐ、河床の洗掘を防いで河川の勾配を安定させる、といった目的で川底をコンクリートや石などで固めたり
下図のように人工的に落差を作っています(砂防堰堤・床止等)。
アユやサケなどが成長や産卵のために、上流へ遡上したり、上流に棲息する生物が、下流へ流されてしまい元の住処にもどる時、この堰堤・床止めが妨げとなってしまう場合があります。
その床止めや堰などがある場所で、魚に配慮して作られた通り道を、魚道(ぎょどう)といいます。(近年では生態系保全の観点から、あらゆる魚と水生生物が対象に含められる)
魚道は生物が川を登りやすいように、段々を設けてプール状にしたものや、障害物で流れを抑えたストリーム式、またコンクリート製や、石などをつかったより自然に近いものなど様々な形状があります。
魚道は適切な維持管理をしていかなければ、増水時の漂流物で壊れたり、土砂が堆積したりで使えなくなります。
実際最近の調査では、岐阜県では魚道の何割かで調査・改善・改修を要し(※1)、高知県では9割が円滑に遡上できないか遡上が困難なものでした。(※2)
また、そもそも魚道自体が適切な形状のものでなければ魚が登って行けず、流域としての一貫性がなくなってしまいます。結果、各漁協では捕った魚の分を養殖して放流するということも必要になります。
これらが発生する理由は、結局管理すべき魚道の場所が多く、行政関係者だけでは管理しきれないことが要因です。
岐阜県ではフィッシュウェイサポーターという制度(※4)を構築し、現地の市民の方(川や釣りの好きの方や漁協組合等)に協力して頂き、共通評価可能な魚道カルテを作成しています。 これにより、行政だけでは管理しきれない魚道を管理しています。
当法人からの提案として、こういった取り組み事例を一歩すすめ『AQMAP(アクマップ)』を利用することで、
・市民にも協力してもらい魚道状態を投稿していただくことで、行政も注視すべき箇所を絞り、効率的・適切に魚道を管理・運営していくことが可能となります。
・上流から下流まで、魚道を一連の遡上経路として機能しているかを一目瞭然にし、真に意味のある魚道管理を実現出来ます。
※1 岐阜県庁ホームページ「河川魚道の機能回復事業について」
※2 日経コンストラクション「魚道の9割使えない、高知県が調査」
※3 岐阜県庁ホームページ「フィッシュウェイ・サポーターについて」
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